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Dicteeのえらぶ100冊 #40

 表紙の絵的に言ったら、とりあえず無し!な感じの羽海野チカ「ハチミツとクローバー」(集英社 クイーンズコミックス 2002年〜)ですが、読んでみたところ、コレが見事にハマりました。僕が一番ツボであろう大学時代って設定な上にその大学が美大ってところがもう心を鷲掴みにしましたね。別に美大に通っていた訳でもないのそう感じるってことは美大に対する憧れみたいなものがあるんだと思います。登場人物が恋愛だけでなく、将来や自分自身について悩んでいるのもまた僕としては凄く共感出来る部分で、そう言うところがよくある少女マンガとは違う点なんでしょうかね(ってそんなに少女マンガを知らない僕がこんなこと言うのもどうかと思うが)。にしても、絵が少女マンガチックなものでこんなにも面白く読めたのはコレが初めてかもしれませんね。新刊が出たばかりですが、次が気になってしかたないです。


Dicteeのえらぶ100冊 #39

 先に紹介した「レター教室」を読んだ僕が次に手に取った三島作品は三島由紀夫「音楽」(新潮文庫 1965)でした。数ある作品の中から一つを選び出す時に僕が決め手としたのはタイトルでした。音楽、そりゃ読まなくちゃってな感じで。精神科医である主人公が患者である女性と分析しながらも、相手と駆け引きをしていくといった内容で、読み始めてみると、音楽とは直接的な関係があるわけじゃないんだ、と少し残念に思ったりもしたのですが、段々と読み進んで行くうちに医師と患者のやり取りの面白さや思いがけぬ展開が面白くなってきて、一気に最後までかけ足で読み終えたのでした。2作続けて面白いと思える作品に当たったのに、実はこの後、三島由起夫の作品を読んでいないのですよね。決め手に欠けると言うか、また何を読んでいいのかわからなくなってしまって。もし、三島ならコレがお薦め!ってのがある方は掲示板かメールで僕に教えてくれれば、僕は間違いなく次にそれを読むことでしょう。


Dicteeのえらぶ100冊 #38

 レビュー欄にあるその名前を信用して買ったCDがどれだけあるだろうってくらい、宮子和眞は参考にしているライターの一人です。そんな彼が書いた宮子和眞「ギター・ポップ・ジャンボリー」(MUSIC MAGAZINE増刊 1998)です。前にも少し書きましたが、僕が洋楽を聴くようになってから、丁度この本に紹介されているネオアコやギターポップばかりを集中的に聴いていて、でもこの本に紹介してあったものは盛岡や秋田ではなかなか見つからないものばかりで、非常にやきもきしたものでした。この本の初めの章で彼はギターポップの概念について語っているのですが、それは実に曖昧なものであることを踏まえた上で、「ロンドンパンクをリスナーとして体験した世代によって始まり、ロックの伝説的な側面や偶像的な崇拝を必要とすることなく、シンプルに曲そのものの良さで自分をアピールするもの」と定義しているのでした。今、僕が聴いているのは、そういう人たちによって始まったギターポップを聴いてきたギターポップ育ちの人たちがやってる音楽になるのでしょうかね。


Dicteeのえらぶ100冊 #37

 テクノが好きかと問われれば、それほど好きではないと答えるくらいの僕がこの石野卓球×野田努「テクノボン」(宝島社 1994)を高校時代に買ったのは、100%電気グルーヴのオールナイトニッポンを聴いていた影響でした。音楽をそこまで多岐に聴いていた訳じゃなかった当時は、買ってはみたものの、書いてある内容が全然わからなくって、本棚の隅に追いやられていたのですが、耳も少しは広がったかなと最近になって実家から持って来て開いてみた所、実に興味深い内容になっていて、あー、あの頃にこれが少しでも理解出来ていたらもっと違った音楽ライフを送っていたかもしれないなぁと思ってしまいました。勿論、今でも参考文献としては使えて、僕もあまり明るくないテクノと言うジャンルについて少しだけ分かった様な気がしました。こういうものを同じ時代に共有出来たらきっともっと興奮するような内容だったんでしょうね。カルチャーにとって同時代性ってのは非常に大事なものですから。


Dicteeのえらぶ100冊 #36

 僕らの世代のサブカル誌と言ったら、なんといっても「Quick Japan vol.16」(太田出版 1997)ではないでしょうか。この号は当時、僕が崇拝していたと、こう表現してもおかしくないくらい好きだったサニーデイ・サービスが表紙特集を飾った号でした。アルバム的には4枚目の「サニーデイ・サービス」が出た頃で、この曽我部のインタビューで1曲目の「baby blue」とラスト12曲目の「bye bye blackbird」が対になっているってのを知ったのでした。また、サニーデイをモチーフにして魚喃キリコが短めの作品を書きおろしたりしていて、今になって見ると非常に豪華な内容だったりするんですよね(当時はまだ僕は魚喃キリコを知らなかったので)。ちなみに当時僕はクイックジャパンを買ってはおらず、いつも行く友達の家にあって、そこで行く度にギターを弾く友達の隣でペラペラとめくっているって感じだったんですよね。今持ってるコレは後に古本屋で買ったものです。


Dicteeのえらぶ100冊 #35

 言うまでもないことですが、松本隆って全然サブカルじゃなくてメインストリートですよね。松本隆「微熱少年」(新潮文庫 1985)を読んでそう思いました。というよりも優れた言葉の選び方をする人にサブもメインも無いのかもしれないですね。多くの人に分かられ過ぎるのもそれはそれでいかがなものかと思ったりもしますけど、松本隆に関してはそんな考えも通じないレベルなのかもしれません。この小説が描かれた時代と現在との表面的、物質的なズレはあるものの、青春っていうのは根本的な部分では昔から全然形を変えずに存在し続けてるものなんだなぁと実感しました。音楽があって、場所は海で、隣には女の子、残念ながら僕の青春には最後に一つがかけていたような気がしないでもないですが、それを共感出来るだけの経験なら、僕にもあるのかも。というか、今でも青春したいです。


Dicteeのえらぶ100冊 #34

 江口寿史「ストップ!!ひばりくん!完全版」(双葉社 1991年)ストップひばりくんってアニメでちらっと見た記憶があるくらいで、殆ど読んだ事なかったんですけど、古本屋で全3巻セットになって売っていたのを見つけて買ってみたのですが、これが意外に面白かったです。この頃はまだこの三等身のキャラしかかけなかったのかもしれないけど、せっかくあんなにかわいい女の子を描けるんだから、ジャケットとかポスターだけじゃなくて、それをつかってマンガを描けばいいのにと思うんですがね。最近になってまた新しい装丁で文庫版が出ましたけど、そっちのアートワークはChannel Productionが担当したそうで、さすがの出来になっています。ちなみにこの二つの他にもオリジナルと文庫版があるんで、ひばりくんだけで4バージョンあるんですね。引っ張り過ぎです。面白いからいいんですけどね。逆にそれでこそ江口寿史だし。


Dicteeのえらぶ100冊 #33

 京都に遊びに行った時、ナナコさんにオススメされてほんやら洞という喫茶店に足を運びました。とても雰囲気の良いお店でそこで食べたカレーとアイスチャイの味は未だに覚えている程です。そしてその素敵な店に置いてあったマスター甲斐扶佐義さんの写真集が甲斐扶佐義「京都愛しの美女たち 2001」(八文字屋 2002)です。僕は女の子が好きですし、それが美女ともあれば尚更だったりするのですが、この写真集に映っている女性たちは全員が全員美しいわけではないのですが、しかし何か雰囲気を持った素敵な女性ばかりなんですよね。勿論、甲斐さんのカメラの腕前もあるのでしょうが、それ以外にも、このお店が持つ雰囲気がこういう女性たちを惹き付けるのではないだろうかと、僕はなんとなくそう思うんですよね。次にほんやら洞に遊びに行く機会があったら最新版をまた買ってきたいです。


Dicteeのえらぶ100冊 #32

  いつの頃からそうなったのか分からないのだけれど、松浦弥太郎はとても気になる存在なのである。そんな彼が雑誌「GINZA」に連載していたのをまとめたのが松浦弥太郎「BOOK BLESS YOU!」(マガジンハウス relax library 2001)です。この中で紹介されている本は僕には一生手に入れる事なんて出来なそうなものばかりなのですが、そのテイストというか、もっと大きな“本を愛する心”みたいなものが伝わってきて、なかなか楽しい一冊になっています。古本や中古CDに関して言えば、どれだけの知識があるかってのが非常に大切になってきますよね。いかによい品を揃えている古本屋さんでも、その価値を知らない人にとっては訳が分からない本だらけの店になってしまいますからね。好きなものに関してデータや知識を貯えたいという気持ちが強い僕にとっては、そういう部分で松浦弥太郎が気になるってのもあるのかもしれませんね。あとはストレートにセンスかな。僕が今、会社行く時に持って行ってるバックがCOW BOOKSのトートバックですし。ぞっこんです


Dicteeのえらぶ100冊 #31

 村上春樹と村上龍、二人のムラカミという作家から動き出した日本の文学を70年代から年代別に分析・解読したのがこの仲俣暁生「文学:ポスト・ムラカミの日本文学」(朝日出版 2002)です。僕は二人の村上では春樹の方にめいいっぱい寄った読者であり、同時にこの二人に影響を受けて来たであろう最近の作家の読者でもあります。逆に言えば、この二人の時代より前の作品に関しては殆ど知りません。だから、この本は僕にとってはストライクというか、非常にピンポイントで興味をそそられる様な内容になっているのです。今でこそ、新刊が出れば必ず買う程になった吉田修一を知ったのは、実はこの本の中のポスト・ムラカミの「ポップ文学」ベスト30で吉田修一の「パレード」が紹介されていたのがきっかけでした。ちなみにですが、グリーンが鮮やかなこの本のアートディレクションを担当しているのは佐藤可士和です。


Dicteeのえらぶ100冊 #30

 自炊は得意じゃないけれど、好きです。そんな僕の強い味方が「クッキング基本大百科」(集英社 2001)なのです。ちょっと大袈裟な風に言わせてもらえば、これさえあれば僕に作れない料理はありません。実際は全然作れない料理だらけなのですが、そのくらいこの本は色々な(およそ1600種)メニューの作り方が載っていて、その他にも、料理なんでも辞典という料理の基本が50音順に調べられる便利なページも付いているのです。ちなみにこの本が発売される時の広告にははなちゃんが登場していたんですよね。僕がこの本を買ったのは半分くらいはなちゃんに惹かれたからなのかもしれません。全800ページのボリュームでちょっとした疑問(ゆで卵の作り方まで)にもすぐ答えてくれますし、キッチンにはこの一冊、マストですよ。


Dicteeのえらぶ100冊 #29

 大槻ケンヂ「グミ・チョコレート・パイン」(角川文庫 1992)はグミ編、チョコ編、パイン編の3部作からなる大槻ケンヂの自伝的小説です。「オレはダメだなぁ〜と思っている総ての若きボンクラ野郎どもへ、心からの心を込めて、本作を贈る。」著者が本の始めのページで記したこの言葉が全てを表しています。僕は間違いなく「オレってダメだなぁ〜」って思ってるボンクラ野郎なので、この作品を読んで凄く共感したし、なんだか頑張ろうって気にもなりました。自分は人とは違って何かをやれるって思ってるんだけど、それが何か分からない青春時代を過ごした人は「判る!」って気持ちで溢れてしまうはず。これを同じ気持ちで読める奴とは友達になれる気がします。自伝的小説だけあって、実際に筋肉少女隊と同じ時期に活動していたアーティストを思わせる名前が登場したり、そこもまた楽しみの一つですね。ただ、この小説、女の子にはどうなんでしょうかね。


Dicteeのえらぶ100冊 #28

 本上まなみは好きですが、正直なところ、彼女はタレントには向いてないと思うんですよね。もっと正確に言えば、今の彼女の立ち位置では彼女の本当の魅力を活かせてないんじゃないかなと思うんです。本上まなみ「ほんじょの虫干。」(GAKKEN 1999)ではそんな彼女の普段は見えてこない素の部分がほんわかと描かれています。本の中の彼女は読書やカメラが趣味で、クラスで言うならば、割と目立たなくて、ちょっと不思議な所のある女の子なのです。決して他人のフィールドでは上手く立ち振舞えないタイプの彼女が女優として自分とは全く違うタイプの女性を演じたり、トップランナーの司会としてゲストの世界に合わせて会話をしたりするのを見るのは痛々しい感じがするんですよね。緒川たまきがあまり女優活動を行わない(やってもちゃんと役を選んでやっている)様に、本上まなみも自分が自然体でいられる様な仕事をしていった方がいいと思うんですよね。余計なお世話かもしれませんが。


Dicteeのえらぶ100冊 #27

 僕がどんなお笑い芸人よりも面白いと思う人たちは石野卓球とピエール瀧の二人です。「電気グルーヴのメロン牧場ー花嫁は死神」(ロッキング・オン 2001)は彼らが「ROCKIN' ON JAPAN」「BUZZ」などで彼らが連載していたコーナーをまとめたもので、二人のバカ思考が満載の一冊です。電気グルーヴのオールナイトニッポン世代の僕としては、当時を思い出してしまうような二人の下らない会話がそのまま活字になっているって感じの内容で、「くっだらねぇ〜」とか言いながら大笑いしてしまうんですよ。彼らの場合、こっちを笑わそうと思って話をしてるってよりは自分達が面白いと思うバカ話を自分達が楽しむ為にしているだけで、それに対して、お笑い芸人はこっちを笑わそうとしてくるってのが僕はどうも苦手なんですよね。お笑いに限らず、ハイ、感動してください、泣いて下さいって分かっちゃう作りは何にしても苦手です。きっとその辺も中高生の頃に電気のオールナイトニッポンで刷り込まれた感覚の様な気がしますね。


Dicteeのえらぶ100冊 #26

 サニーデイ・サービスのジャケットデザインを担当する小田島等(floppy disco)のご贈答カード集、小田島等「あいうえお」(オルタローブ 2002)。彼の今までの作品がポストカードになって一気に楽しめるこのカード集、サニーデイ・サービス「東京」の桜ジャケや初恋の嵐「真夏の夜の事」など僕の大好きなジャケットが収録されています。下北沢のカフェ&レコードショップ「Onsa」のロゴも彼が作ったものだってのはこのカード集で初めて知りました。幾つかの雑誌で彼と曽我部の二人でやっている連載「ロック曼陀羅」のポストカードバージョンなんていうのもついていて、その中では曽我部がポスカード5選とか言って好きなポストカードを紹介したりもしています。本来、ポストカードというものは人様に送る為に存在するものですが、僕はケチなのか、勿体なくて未だに全部手もとにあるのです。ご贈答カードって書いてるのにね。


Dicteeのえらぶ100冊 #25

 鎌倉に店を構えるcafe vivement dimancheのオーナーが作った「ディモンシュ」というフリーペーパー、その5年分をまとめたのがこの「dimanche」(アスペクト 2000)です。様々な人たちがカフェや珈琲に着ついての文章やディスクレヴューを書いていて、とてもとてもお得な一冊になっています。片岡知子、根本きこ、伊藤弘、田中知之、嶺川貴子、常磐響、カヒミ・カリィ、松浦弥太郎、川勝正幸、小西康陽、これだけの顔ぶれの文章が一冊で読めるのはおそらくこの本だけではないでしょうか。元々がフリーペーパーということもあってか、どの人も凄くリラックスした文章を寄せていて、そこがまた一冊通してのふんわりとした雰囲気を醸し出しています。オーナー堀内さんの人柄がこれだけの人たちを惹き寄せるのでしょうかね。サブカル要素満載の内容でもあるので、ガイドブック的な見方をしても面白いかもしれませんね。


Dicteeのえらぶ100冊 #24

 映画「ミトン」を観に行った時にあまりの良さに買ってしまったのが、「ミトンフィルムブック」(河出書房新社 2003)です。チェブラーシカのカチャーノフ監督が手掛けたパペットアニメ「ミトン」は、人に薦められて東京に遊びに行った時に観たのですが、観終わって映画館を出た時には僕も誰かに薦めたくなってしまう、そのくらい素敵な作品でした。ストーリーの良さ、キャラクターのかわいさ、そして僕が何よりも刺激を受けたのはその色彩センスでした。主人公の女の子の水色のコートに赤いズボン、金髪の頭にちょこんと乗ったブルーの帽子、そして傍らには真っ赤な毛糸のミトンが。もうこのバランス、堪りませんね。台詞を持たないこの人形たちが織り成す実に暖かい物語をあなたにも体験してもらいたいです。(僕も誰かに薦めたい訳です)


Dicteeのえらぶ100冊 #23

 みうらじゅんってすげーなぁって思ったのはみうらじゅん「グレイト余生」(ヌーベルグ MOOK 2001)を読んだ時でした。それまでもみうらじゅんの存在は認識していたし、面白い人だなぁとは思っていたけど、こんなにかっこいい人だとは全然知りませんでしたよ。多くの人が負のイメージを持ってしまう所を逆に取り上げていき、周りに理解されるのではなく、周りを理解させてしまうその行動力にはホント見習いたい所が多くありました。どうせ僕なんて、と暗く考えている自分とは大違いだなぁと。この本にはみうらじゅんの10代の頃の日記も載っているのですが、驚くべきはこのスタイルが既に小学校の頃から確立していたという点です。自分は全然バカなことをやるような人間じゃないのに、かっこいいなぁと憧れるのは、みうらじゅんやら石野卓球だというのが、そもそも僕が浮かび上がれない最大の理由のような気がしてきました。


Dicteeのえらぶ100冊 #22

 学生時代、青春18きっぷを使って盛岡から福岡までを往復したことがありました。きっと旅がしたかったのです。沢木耕太郎「深夜特急」(新潮文庫 1986)の影響はたっぷりと受けていました。アジア〜ヨーロッパを股にかける本家とは比べものにならないけれど、鈍行列車だけで本州をほぼ横断してしまおうというのは僕らなりの無茶であり、僕らなりの旅だったのです。今思えば、国内で大学生がよくやるような何の代わり映えもしない貧乏旅行ではあるのですが、それは他の誰かと比べてどうかなんてことは全然意味がないことで、僕にとって、大阪のファミレスや中州のカラオケ屋、奈良駅前の喫茶店、静岡駅で夜を明かしたことは良い経験だったのです。あれが無かったら、僕は西日本の文化には触れずに過ごしていたかもしれないのですからね。尾道の景色と讃岐うどん、とんこつラーメンは今でも僕の中に深くしみ込んでいます。


Dicteeのえらぶ100冊 #21

 様々なストーリーがこの世の中には溢れていて、小説の中では様々なことが起ってきた。だから、「何も起らない」と言うこともひとつの出来事として浮かび上がるのかもしれない。保坂和志「プレーンソング」(中央公論新社 中公文庫 2000)はそんな「何も起らない」を見事なまでの表現した作品です。こんな風にゆっくりとした生活の中に身を投じてみたい。休日なんかは僕もこれに近い生活を送ったりするけれど、さすがに仕事のある日はそういう訳にはいかないのです。保坂和志の作品に猫の存在は欠かせなくて、背表紙の著者近影を見ても猫を抱いた写真が乗っています。うちの近所にも猫が何匹かいるんだけど、僕が通る時はいつもササっと逃げてしまって、はっきりと姿を見たのは数回しかありません。この物語のようにじっくりと猫を観察するにはどうしたらいいんでしょうか。チャトラとクロがいるのはわかってるんですけどね。


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