【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2004 in EZO】

 二日目は待望の青空。一日目よりも人も沢山入っていて、なんとなく活気が出てきたといった感じでした。雨が降っていては出来ないその辺の木陰でゆっくりと寝そべることも出来、ゆったりフェスモードです。僕はまずサポートの高野寛見たさに宮沢和史を2曲ほど見た後にPUFFYが出るEARTH TENTに向ったのですが、既に入場規制がかかっていて、ソフトクリームを食べながら外で音だけを聴いていました。GREEN OASISのつじあやのにすれば良かったなぁとちょっとだけ後悔もしたのですが、まぁその分、のんびりとした時間が持てたので良しとしましょう。ちなみに遠い遠いと盛んに言われていた会場内ですが、僕は全然そんなことないんじゃないかなぁって思いました。確かに端のグリーンからムーンまで歩けば2、30分はかかるかもしれないけれど、フジロックなんてそんなもんじゃきかないでしょ。タイムテーブルを次から次へと見て回りたい人にとってはその移動時間が惜しいのかもしれませんが、このゆとりが僕は逆に好きなんですよね。

 PUFFYが終わり、テントから出て来る人の波をかき分けながらEL-MALOを見る為にMOON CIRCUSヘ向いました。様々なアーティストのサポートで数多く姿を見ているアイゴンとは違い、僕は柚木を生で見るのは初めてだったのですが、CDのジャケットなどで見ていた彼の姿と比べて結構太ってましたね。いきなり好きな「CHASE」で始まったのは嬉しかったのですが、終盤は「メタリカのビデオを見てイメージトレーニングしてきました」とMCで言うくらいゴリゴリの展開でちょっとだけついていけない部分もありました。でも遅れて聴きはじめたエルマロを実際に見ることが出来たので、それだけでちょっと嬉しかったです。

 エルマロで落ち合った友達とその後はビール飲んでカレー食って、またビール飲んでの繰り返し。RED STAR FIELDの勝手にしやがれを遠巻きに聴きながら、また飲んで。次から次へとステージを見ていた一日目とは打って変わって、この日はステージは半分くらい、あとは友達と話しながらフラフラしていました。

 

 そんなのんびりムードの中でもしっかりと前の方まで行って見たのがRED STAR FIELDのゆらゆら帝国です。一緒にいた友達はこの一月で3回目のゆらゆらだったそうですが、僕にとっては久々のライヴ。相変わらずの異様さというか、異様なんだけど何故だかめちゃめちゃかっこいい坂本氏の姿が印象的でした。ギターソロの動きとか他の人がやったらただ滑稽なだけなのね。普段はあまりやらないという「グレープフルーツちょうだい」や「ゆらゆら帝国で考え中」とかが聴けたのが良かったです。

 その後のUAは後ろの方で眺める感じで。菊地成孔がいつものようにサックス吹いてましたね。ちっちゃくしか見えませんでしたけど。二日目の人の入りでレッドのステージは常に通路まで人でいっぱいって感じでした。それを考えると一日目にポラリスやクラムボンを見れたのは環境的に良かったのかも。UAが終わって混む前にSUN STAGEのシートゾーンに戻って少し休憩。徐々に寒くなってきたので一枚着込んでちょっとだけ横になる。夕焼けが雲を染めていて、改めて北海道の空の広さ、美しさを感じました。

 

 あたりがすっかり暗闇に包まれて、僕も少し動き出します。まずはRED STAR FIELDに戻ってBuffalo Daughterを見ました。3人お揃いでピンクのスカーフで口元を隠しての登場。シューガー吉永と大野由美子は全身黒の衣装で、シュガーは翌日に札幌であるMETALCHICKSのライヴの宣伝なんかもしてました。1曲目「Cyclic」から2曲ほど聴いて、あとは電気に備えてMOON CIRCUSへと移動。少し名残惜しかったのですが、二日目のメインは電気なんだからと心に言い聞かせて。

 そんな訳でLOOPA NIGHTにはDJ KAGAMIから突入。始めは電気の為に事前から前に行ってようと思っての行動だったのですが、初めて聴くKAGAMIのプレイが意外にも良くて、電気が登場する前に既に着ていたカッパを脱いじゃうくらい体が温まっていました。アップも充分で卓球の登場を待っていると、らしきシルエットが現われ、ほどなくして瀧もステージ上に登場。二人の姿をまた見ることが出来たってだけでその瞬間は嬉しくなってしまいました。序盤は電気グルーヴというよりも卓球が電気の曲をメインにDJしている前で瀧が客を煽ったりパフォーマンスで盛り上げたりって感じで、僕自身の盛り上がりも若干抑え気味だったのですが、長い活動休止期間から復帰してのライヴだってこともあってか、だんだんだんだんテンションも上がってきて、それに応えるかのステージ上でも大好きな曲やフレーズがかかってきたら、本当は疲れているはずの体が勝手に踊り出してしまうような楽しくて仕方ない状態になってしまい、そんな所に「電気ビリビリ」「富士山」がきて、もう自分自身の制御が効かなくなっていました。以前はライヴでよく感じたのに最近では殆どなくなっていた疲れているってのを突き抜けた先にある楽しさってのを久々に体験出来ましたよ。もう、電気グルーヴは最高です。卓球のDJも存分に楽しんだ後、余韻を残してMOON CIRCUSを後にしました。

 時計は12時を回り、一緒に来ていた先輩や現地で合流した友達たちと少しの間ぐったりしながら夜の時間を過ごしてから、自身初のEARTH TENTでDOPING PANDAを見ました。先日の秋田でのライヴが思いの外良かった彼らのライヴは始めから飛ばしっぱなしで、さすがに最前のモッシュ&ダイブゾーンには近付かなかったものの、後ろの余裕のあるスペースで一人踊りまくってました。ちょっと調子に載り過ぎて軽く足の筋を伸ばしてしまい、中盤は少し大人しめにしていたのですが(情けない)、ラスト前の「GAME」でブチッと脳内が切れちゃいましたね。気付いたらフラフラになっている自分がいたのでした。ずっとゆったりできていた今回のエゾもLOOPA NIGHTからドーピングパンダにかけては、僕がライヴに行きはじめた20歳そこそこの頃を思い出させてくれるような激しい楽しさを味わうことが出来ました。音楽に合わせて体をガンガンに動かすのって楽しいですね、ホント。

 再びメインのSUN STAGEに戻ってくると渋さ知らズオーケストラがお馴染みのパフォーマンスを繰り広げていて、それを見ながらシートで体育座り。徐々に明るくなってくる空を見ながらちょっとだけ初参加した1999年のことを思い出したりなんかしていました。あの時はまだ大学生で、仲の良い連中7人青春18きっぷで北海道までやってきたのでした。あー、楽しかったなぁ、当時も、そして今回も。

 ラストのオリジナルラブは初めてSUN STAGEの前の方(と言ってもスタンディングゾーンよりも後ろ)で見ました。帰ってきた後に幾つかの掲示板でオリジナルラブのトリは合わないとか書いてるのを多く目にしたのですが、いやいや、全然そんなことなかったですよ。愛すべき田島貴男は決して客に媚びることなく、しかしながら充分に気合いの入ったステージで僕らを楽しませてくれました。人それぞれラストに求めるものは違うのでしょうけど、殆どの人に共通するフェスの楽しさってのはきっと長い時間を過ごした末に待っているドラマ性みたいなものなんじゃないでしょうか。この太陽がこんなにも心に沁みるのはそれまで過ごしてきた時間の長さに関係しているんですよね。5年ぶりに見た北海道の朝日は失いかけていたあの頃の何かをちょっとだけ思い出させてくれたような気がしました。

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